奥の松の酒造り/麹

丹精込めたもと麹と清冽な仕込み水との出合い。

「もと」をつくるためのタンクに麹室で育てられた「もと麹」と仕込み水が入れられます。

木製の櫂で攪拌(かくはん)するとタンクの中には水麹ができ、その中に発酵乳酸と酵母を仕込みます。

これらの酵母は、奥の松に古くから住み着いている家付き酵母を長年かけて純粋培養したものなど、つくる酒によってさまざま。

タンクの中にさらに蒸米が加えられて、「櫂入れ」と呼ばれる力仕事の始まりです。蔵人は「もと」の状態に合わせて力を加減しながら巧に櫂を操り攪拌し続けます。

奥の松では、速醸もとを主とした育成もとを採用しているため、発酵する力も強く、調和のとれた薫り高い穏やかな酒に仕上がります。

それらは鑑評会でも高く評価されており、そうした実績を次なる酒づくりに反映させ、その時代その時代で最も優れた技術を取り入れています。

奥の松の仕込み水は、安達太良山の清冽な伏流水。

冬に降り積もった雪が、春の雪解け水となって地層深く染み込み、四十余年の歳月を経て厚い花崗岩の岩盤から清冽な水脈となって湧き出てくるのです。

ミネラル分をバランスよく含んだ酒づくりに理想的な仕込み水。八千代蔵では、地価100メートルにもおよぶ掘り抜き井戸により、50㎡/hの豊富な水量を確保し、貴重な天然の恵みとして有難く利用させてもらっているのです。